男のスキンケアは「セルフケア」の第一歩

生活面で自立した男性、それが「ジリメン」。この連載の著者佐藤尚之さんが作った言葉です。今まで炊事、栄養のこと、掃除、洗濯、そして洗濯という家事の流れからの服選びまで、その道の専門家にいろいろ教わってきましたが、今回は「スキンケア」。「男性には“ケア”の視点がない」と、「自愛=セルフケア」の重要性に気づいた佐藤さんがまずその第一歩として注目したのが「スキンケア」。お話を伺ったのは著書『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。』で今注目を浴びる伊藤聡さんです。男性が肌を労わる、自分を労わることはどんな未来につながるのでしょうか。

●前回の【vol.11スタイリングカウンセラー澤木祐子×佐藤尚之対談 ジリメンの服選びは、まず素材に対する思い込みを捨てるところから】はこちらから
●今回初めてこの連載を読んでくださっている皆さん! ぜひ、vol.1の「宣言編」をご一読ください。
【vol.1  もしかしてオレ、自立してなかった⁉】

佐藤尚之(さとう なおゆき)さん
コミュニケーション・ディレクター。
1961年東京生まれ。著書に「ファンベース」(ちくま新書)、「明日の広告」(アスキー新書)など。また“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)などがある。
2018年にアニサキスアレルギーになって外食や旅に行けなくなり生活がガラリと変わる。一汁一菜を毎日作ってインスタグラムにアップもしている。

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伊藤 聡(いとう そう)さん
会社員兼ライター。映画評、書評、美容、ジェンダーなどが得意ジャンル。美的WEB(小学館)などで連載中。

『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアを始めました。』伊藤 聡著(平凡社)
伊藤さんがスキンケアを始めたきっかけと、その後の展開で、今まで全く知らなかった世界をのぞいた人のワクワク感と戸惑いがストレートに伝わる一冊。

文/小林みどり
撮影/原 幹和

実は63歳10ヶ月にして、生まれて始めて「スキンケア」というものをしてみたのであった。

お肌のことなんか考えたこともなかった。
昭和生まれはいわゆる「男らしさ」みたいなジェンダー意識が強く心にこびりついている世代で、自分がそんなことやるなんて思ってもみなかった。つまりは「女のやること」とおもっていたわけだ。

でも、このジリメン連載を始めて、「自立って、料理や掃除だけでなく、セルフケアも大切な部分だよな」と気づき、少しずつ自分ケアに目が向き始め・・・。
辿り着いたのが「スキンケア」だったというわけです。

スキンケアを始めた、とカミングアウト(まさにそんな気分)したときの周りの同世代の反応は「うげー」「まじか」「キモッ!」であった。一方、若い男性は「へー」「その世代には珍しいですね」「当然やってますよ」という反応だった。そう、若い男性はもう普通にやっている。

一方、女性の友人たちの反応はすごかった。
わらわらと寄ってきて、よってたかって教えてくれる笑。あれがいい、これを買え、今度持ってくる云々。

そうこうしているうちにある本を勧められた。
これが今日の対談相手、伊藤聡さんの『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。』であった。

それからずっとお会いしたいと思っていた伊藤さんとの念願の対談である。
男がスキンケア? キモッ!って方ほど、ぜひ読んでいただきたい。


写真上:伊藤さんがおすすめする基本のスキンケアアイテム。左から乳液、化粧水、化粧水
写真下:佐藤さんのスキンケアアイテム。左から日焼け止め、クリーム、化粧水、美容液、乳液、化粧水、洗顔料。

自堕落を気取るのは、セルフネグレクトですね(伊藤さん)

佐藤尚之さん(以下、さとなお):初めまして、今日はよろしくお願いします。伊藤さんの本『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。』を拝読しました。いやぁ面白かったなぁ。貴重な体験を書いていただき、ありがとうございました。

伊藤聡さん(以下、伊藤):いえいえ、読んでいただきありがとうございます。

さとなお:読ませていただいて「スキンケアって『セルフケア』の話だな」って思いました。

昭和世代の男って「自分のケア」、本当にしないですよね。ボク、理由は3つあると思っていて、まず1つめは、世代の問題。
ボクたち昭和生まれの男って、まず親がモーレツ社員世代で長時間働くのが当たり前という価値観。そういう親世代に育てられた上に、子供のころに流行ったアニメは「巨人の星」とか「あしたのジョー」とかのスポ根もの。男なら根性でなんとかしろっていう価値観ですよね。自分をケアするとかありえない。そんなことより根性根性。
そして、中学高校で太宰治とか坂口安吾とかの無頼派に憧れる。大酒飲んで自分を痛めつけるような破滅型の生活スタイルに憧れました。これもケアから程遠い。
で、会社に入ったら24時間働けますか?の世界。ケアより前に働け!って価値観でした。

もうどこをとっても「自分をケアするなんてありえない、恥ずかしい、後回しでいい」って感じだったなぁ、と。なんなら自堕落な人生の方ががカッコいい! みたいなね(笑)

伊藤:それって、セルフネグレクトですよね(笑)

さとなお:そう。セルフケアの真反対のセルフネグレクトです。自分をケアしようという気持ちが、元からないんです。それが昭和世代の根本にある気がします。

で、2つめは、女性には月のものがあって、毎月自分をケアしないといけないけれど、男にはそういう決まった習慣がない。
ほとんどの男性は、定期的に調子が悪いとか肌が荒れるとかないと思うんです。つまりは「セルフケアの習慣」が出来なかった。これが2つめ。

そして、3つめが、お化粧の習慣がなかったこと。
女性はお化粧しますからね。毎日毎日お肌をケアしてきた。あの毎朝毎晩の習慣こそが、女性の「セルフケア感」を育んでいるような気がするし、お化粧をしないほとんどの男性にはその意識がものすごく薄いというか、ないんだろうな、と。

伊藤:そうですよね、男はセルフケアをしない。スキンケアの話をすると、「そんなの面倒くさい、好きなだけ食べて好きなだけ飲んで、そこらへんで野垂れ死んでもかまわない」って言う男性が多いんですよ。

さとなお:そうなんですよね。自分のケアを考えられない人間に、他人のケアを考えられるはずもない。

伊藤:本当に。

さとなお:そんなこんなで、男性が「セルフケア」を始めるに当たって、「スキンケア」から始めるのがいいのではないか? スキンケアこそがセルフケアの象徴なのではないか? と気づいたのが今年の春でした。64歳になる春です。遅くてすいません(笑) 

でもそこでようやく気づいて、ドラッグストアの化粧品とか置いてあるところに生まれて初めて足を踏み入れて、生まれて初めて化粧水と乳液を買ったんです。ロート製薬の「肌ラボ 極潤」でした。

伊藤:お、いい選択ですねぇ。

さとなお:友人がロートに勤めていたので(笑)。でもなんか最初は恥ずかしかったな。男のくせに、64歳のくせに、っていう昭和な感情が出てきてしまって。まぁでもその恥ずかしく思うという感じ方がね、もう古いのではないか、と思い直して足を踏み入れました。

若い男性たちはもうみんなスキンケアやっているし、とにかく、一回ちゃんと「自愛」の習慣をつけなくてはいけない、と思いました。スキンケアをその象徴としてやってみようと。

で、数ヶ月やってみて、この、ボクにとっての新しい習慣は、たしかにセルフケアにつながるなそして、セルフケアはそのまま『自立』につながるな、と、いま感じています。自立していない男性は、いままで自分の「ケア」を考えたことがないんじゃないかと。料理にしても掃除にしてもファッションにしても。

伊藤:そう思います。

このポーズが、ボクの中での「自愛」の象徴なんですよ(さとなおさん)

さとなお:たとえば、こういう泡石鹸とかで顔洗ったことすらなかったんです。いままでは石鹸でゴシゴシ洗ってた。いやほとんど水だった。水で流して終わりみたいな。そして何より、化粧水をつけるときのこのポーズ! 両手で頬を包んで肌にうるおいを与えるこのポーズ、生まれて初めてやりました!(笑)。これ、セルフケアの象徴のポーズですね。

伊藤:ははは(笑)。わかります。他には何を使ってらっしゃるんですか?

さとなお:この前初めてブースターというものの存在を知ったんです。友人がくれました。女性の友人って、ボクが「スキンケアを始めた」って言うと、よってたかっていろいろ教えてくれますね。手作りのハンガリアンウォーターとカカオバターのスキンケアバーをくださった方もいました。
あ、それと日焼け止め。学生のときのビーチ以来ですよ、日焼け止めなんて(笑) あのココナッツ臭い日焼け止め以来の使用です。

でも最初はわけわからなかったなぁ……。スキンケアって何をしたらいいのか戸惑いました。基本は化粧水と乳液なんだと知って、ようやく最初のハードルを越えた感じ。え、女性用のコスメってあんなにたくさんあるのに、たった2個? 2個でいいの⁉ って。いやぁ驚きましたね(笑)

伊藤:趣味の領域のものとか、個別の肌悩みに対応したものとか、アイテムはいろいろありますよね。でも、男に肌悩みは? と聞いても、そもそも肌悩みがわからない。

さとなお:わからないんですよ。肌がつっぱるなんて意識したことないし。

伊藤:ほとんどの人が、自分がどういう肌なのかを知らないですよね。あるべき姿を知らないから、現状をこんなもんだと思ってしまっているんでしょうね。

さとなお:そうなんです。つっぱり肌とかカサカサ肌とか、自分で触ってもよくわからないんです。いや、わからないでもないけど、他人と比べたことがないから自分がどうなのか自信がない。
というか、化粧水自体がわからない。オレ、化粧しないのに、化粧水つける必要あるの?とか、最初はすごい抵抗ありました。

伊藤:名前がわかりにくいですよね(笑)。

さとなお:わからない。化粧水とローションが同じものを指すだなんて知らないし、洗顔したら次どうするの?って。

伊藤:女性のように情報交換のネットワークがないから、情報がまったく入ってこないんですよね。男同士でヒゲ剃ったあとどうしてる? なんて会話しないから。もうね、面倒なら、何かひとつだけつけてみて、何か違うなというのを体験してもらうといいかもしれない。洗顔やヒゲ剃りのあとに乳液をつけると、ヒリヒリが収まって気持ちいいと思うかも。

とにかく、ジリメンの方々にお勧めしたいのは、まずは洗顔料を買いましょう、ということ。それを泡立てて、やさしく丁寧に顔を洗って、丁寧に水をふき取る。そして化粧水をつける、この2プロセスは行ってほしいですね。

さとなお:丁寧にふき取る、とかやってこなかったなぁ。洗顔したらタオルでゴシゴシこすってた(笑)。

伊藤:そうですよね。でもスキンケア始めるとゴシゴシはもう怖くてしなくなりますよね。

さとなお:ですよね(笑)。ところでスキンケアっていろんなアイテムがあるけど、ざっくりひと言で言うと「スキンケア」って保湿ですよね?

伊藤:はい、そうです。

さとなお:よかった、間違っていなかった(笑)

伊藤:まず、うるおいですよ。で、化粧水で水分を与えたら、その水分が飛ばないように、乳液をつける。乳液で肌に蓋をすることでうるおいを長続きさせるんです。それが基本。

さとなお:なるほど、そこが基本なんですね。何もしたことのない男はこの2つだけで肌の手触りが変わりますよね。というか、いままで数十年放っておいた肌が驚いて、急にイキイキしだします(笑)。でも、伊藤さんがお使いのコスメは2つだけじゃなくていろいろありますけど、それは、何かの肌悩みに特化した特別なものなんですか?

伊藤:もう趣味の領域と言えるかも。たとえば韓国のシカクリームは、肌荒れしてちょっとヒリヒリしてるときにすごくいい。ロート製薬の「メラノCC」は、ビタミンたっぷりですごくいい。値段も安くて大人気ですよね。日焼けやシミが気になるところに塗ったり、毛穴を引き締めたり、肌にハリが出たりと、いいことがいろいろあります。ドラッグストアで買えますよ。

高価な化粧水ももちろんいいですけど、じゃあドラッグストアの1000円の化粧水がダメかと言われると、そうでもない。そこがスキンケアのおもしろいところで、お金をかけなくても身近で良品が手に入ります。

さとなお:最初はそれでいいんですよね。

伊藤:そうですね。私は「ケアセラ」や「カルテ」といった敏感肌用のブランドも買ってますよ。男性の肌は強そうですけど、意外とそうでもない。髭剃りのあととかね。

補充とメンテナンス。人生の本質ですね(伊藤さん)

さとなお:話は変わりますが、伊藤さんも書いていらしたけれど、化粧品って減るんですよね。当たり前なんだけど(笑)。減ったらいちいち買い足すわけですけど、男って意外とそのハードルが高い人が多い気がします。

ボクもこれまで60年間、化粧品なんてなくて済んでいたわけだから、なんというか習慣がまったくないんです。だからかと思うんですが、そろそろ1本なくなるから補充しようって何故かならない。空になったらそこでスキンケア終了。営みとして身についてないからですかね。ハードルを少しでも下げようと、大容量を買ったりはしてるんですけど。

伊藤:いや~~、生活って、そういうことの連続ですよね。生活とは、放っておいたら倒れてしまうものをずっと立て続けることだと思っていて、補充もそのひとつ。なのに、なんで男は補充ができないのかな。コンビニでお茶を買うのと一緒なのに。

さとなお:習慣とか営みになってないのもあるけど、依存してたんでしょうね。母とか妻とかに。例えばトイレにトイレットペーパーがないときでも、「あ、トイレットペーパーがなくなっちゃった」、と思うだけ。買いに行こうとしない。

伊藤:結婚していたら、翌日にはちゃんと補充されてたりしますからね。部屋が片付いているとか、子供が清潔な服を着ているとかもそう。自然にそうなっているんじゃなくて、裏で手間をかけている人がいることに気づかない。怖いですよ。恥ずかし過ぎる。

さとなお:いや本当に。そういう意味で「補充こそ自立」かもですね。夫婦ふたり暮らしでも、自立心があれば自分で買いますよね。気づいているうえでの役割分担ならいいんですけど、妻が買うものだと思っているのは完全に依存ですよね。

伊藤:確かに補充の問題は大きい。麦茶ポットだって、あと1センチも残ってないのに、男はまたそれを冷蔵庫に戻すんですよ。ポットを洗って麦茶をわかして補充して、冷蔵庫で冷ましておく、っていう発想がない。そもそも、どこに麦茶パックがしまってあるか知らない。

さとなお:そうそう、ボクは複業でバーをやるまで、それが分かってなかった。バーをワンオペで始めてから、もう補充のことしか考えてないですね。炭酸水は足りてるか、花は枯れてないか、ゴミ袋あったっけ、トイレットペーパーはあとどのくらいあるかって。

伊藤:「補充」! まさに人生のキーワードですね。次の原稿のネタにいただいていいいですか(笑) 人生は補充。補充が大事。うん、今日一番の学びかもしれない(笑)

さとなお:補充は大事ですよね。日本軍が負けたのも、ロジスティクス(兵站・後方支援)の破綻が大きな原因のひとつと言われてますから。男ってイケイケドンドンで前に進むけど、補充が本当に不得意ですよね。考えてもいない。

伊藤:本当にそうですね。今日、明日、明後日と日々暮らしていくには何かしらの補充をするし、補充し続けることが生きることなんですよね。すごい本質だと思う。生きていくことの本質。

仕事をすれば疲れる、だから休んでエネルギーを補充する。体も汚れる、だからお風呂に入って清潔にして、シャンプーやボディソープが減っていると気づけばやっぱり補充。全部、補充。うん、すごく大事な話だと思う。

ドラッグストアで商品を眺めて、あ、この洗剤もうすぐ切れそうだから買っておくか、とか、うちで使ってるシャンプーがセールしてるからまとめ買いしておくか、とか。

さとなお:そういうときにね、補充ではなく、新しいシャンプーとか買っちゃったりしますよね。なんか面白そうな目新しい道具を買ったりね。「面白さ」「目新しさ」を選んでしまいがち。

伊藤:あ、分かります。たとえば家電なんかでも、エアコンを何年もフィルター掃除とかしながらメンテナンスして使い続けるという発想がない。「なんか最近風がこないな、じゃあ買い替えようか」ってなる。

さとなお:わかる〜(笑)

自分に優しくできて初めて、人に優しくなれる気がします(さとなおさん)

伊藤:補充して、メンテナンスをして。それは家の中だけじゃなくて、自分自身に対してもそうですよね。「オレ昨日徹夜でさ」と得意げに言うみたいな、自分を粗末に扱うことがカッコいいというカルチャーがあるけど、そういう意識が抜けないんですよね。

さとなお:そうなんですよ、それって今の時代、社会全体から見たらよくないことですよね。

伊藤:自分で自分をケアできないのもよくないけれど、無意識のうちに自分のケアを他の人に押し付けていることがけっこうある。それはマズイと思うんですよ。

さとなお:あー、その通りですね。「忙しいんだよ」とか理由をつけて、無意識のうちに家族に押しつけてたりする。そういうの、介護される側になったときに気づいても遅いんですよね。

もちろん出来ている人はいいんだけど、たいていの男性は自分をケアするとはどういうことか、もっと真剣に考えたほうがいいと思う。セルフケアって、つまりは自分に対しての補充とメンテナンス。でも、それは昭和男子にとってはものすごく大きな意識の転換になるから、無理やり自分で自分を転換させなくちゃいけないと思います。で、そのとき、まず第一歩としてのスキンケアが力を発揮すると思っているんです。

だって、1日にたった5分でいい。そもそも自分の顔を鏡でじっくり見たことなんてなかったから。ボクはスキンケアを始めてから、タオルでゴシゴシ適当に拭くんじゃなくて、ポンポンとやさしくするようになった。いつの間にか、自分に優しくする気持ちが育ってる。

伊藤:自分にやさしくね(笑)

さとなお:そういう意味で、スキンケアはジリメンにとっての自立の象徴であり、きっかけ。両手で肌を包み込むようなポーズ、その形からでいいから、とにかく一回やろうぜ、と提案したいです。だんだんと無意識に自分を大切にするようになるから。

自分を大事にしない人は、人に優しくできないでしょう。人に優しくありたいし、時代も優しくなっているのに、自分だけ後回しにしているのは本末転倒です。我々の世代はそこを見ないフリをして、狭いサラリーマン街道を猛烈に突っ走ってきた。もう肩の荷をおろして、自分に優しくしましょう、スキンケアも自分に優しくすることですよと言いたい。

伊藤:日焼け止めも塗ってね(笑)

さとなお:あ、日焼け止めね。ボクたちの世代は真っ黒に焼いてナンボの世代だから、日焼けするオイルを塗ってましたよね(笑)

伊藤:止めるどころか焼いちゃうヤツ(笑)

さとなお:それそれ(笑) やっぱり頭のどこかで、せっかく太陽出てるのに日焼け止めを塗るのはもったいないと思っちゃう(笑) でもね、日焼けは肌に悪い。ちゃんと日焼け止めで守ってあげないと。日傘男子も増えてるし。

伊藤:私、日傘使ってますよ。最初はちょっと恥ずかしかったけど(笑) 暑くて外に出なくなるくらいなら、日傘をさして外に出たほうが人生楽しいと思って。

さとなお:確かに。そうやって自分に優しくすると、人のことも見えてきて、女性がなんであそこまで美容にこだわるのかちょっと分かってきました。何に神経を使っていて、何を考えているのか。

伊藤:そうですね。私もいろいろな女性誌を読んで、わかることが少しずつ増えていきました。

さとなお:いま、時代的にも、セルフケアして自分に優しくなることは、生きていくうえで重要なことになりつつある。いや、もともと大事なことだったんですよね。形から入るスキンケアは、まさに「自愛」。まず、自分専用の洗顔料と化粧水をドラッグストアで買いましょう。そして、最初のステップは、このポーズから(笑)」

次回に続く【近日公開予定】

【宣言篇】Vol.1「もしかしてオレ、「自立」していなかった!?

【社会問題篇1】vol.2浜田敬子×佐藤尚之対談「ジリメン」は社会問題を解決する(前編)

【社会問題篇2】vol.3浜田敬子×佐藤尚之対談「ジリメン」は社会問題を解決する(後編)

【社会問題篇3】vol.4 男性のせい、ばかりではない

【料理篇1】vol.5 その料理、毎日、毎食作れますか?

【料理篇2】vol.6 最低限ギリギリの料理スキルとは何か

【料理篇3】vol.7 味噌汁は「主菜」と考える

【料理篇4】vol.8 自炊料理家/山口祐加×佐藤尚之対談「おいしさ」を求めるとジリメン料理は続かない!

【料理篇5】vol9.順天堂大学医学部教授/小林弘幸×佐藤尚之対談 先生、一汁一菜で栄養は足りてますか?

【掃除洗濯篇】vol.10 「家事えもん」こと松橋周太呂×佐藤尚之対談「ジリメンの掃除洗濯」は極限までシンプルに!

【ファッション篇】vol.11ジリメンの服選びは、まず素材に対する思い込みを捨てるところから