料理家・文筆家の麻生要一郎さんの日々をご自身の絵と文章でつづる連載です。「娘」と呼ぶ坂本美雨さんと、美雨さんの娘「なまこちゃん(愛称)」と行くトークイベント。美しい街で、3本の川のようにそれぞれの経験が寄り添うように流れるいとおしい時間の流れが感じられます。盛岡に行きたくなりますよ。
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新刊『酸いも、甘いも。 あの人がいた食卓 1977ー2025』発売中!
文/絵/撮影 麻生要一郎

三本の川が出会う街が、盛岡。 街に寄り添う中津川、どっしりとした主流の北上川、そして山の香りを運んでくる雫石川。 そんな盛岡にある書店「BOOKNERD」の早坂さんにお声がけ頂き、美雨ちゃんとなまこ氏、三本の川の如くトークイベントに出かけた。他の街ならば、到着すると目的地へ向けてタクシーに乗ってしまうが、盛岡は川を眺めたくなる。先ずは、北上川を目指して歩き、しばらく雄大な川の流れを眺めた。ホテルへ向かう道中、「蕎麦・金時」というお店を見つける。海老天おろしそばと悩んだ末、岩手産鴨つけそばを注文。後から数人で来店の若い男性達が、なめこおろしそばを頼んでいて、再訪を誓う。 美味しいそばを堪能、ホテルから目と鼻の先のBOOKNERDへ向かい、挨拶を前に早坂さんの視点で選ばれた本棚の前で立ち往生した。これも欲しい、あれも欲しい、僕も美雨ちゃんも、本を抱えてレジに向かう。

2人で何かをする時、それは阿吽の呼吸で行われる。打ち合わせは一切なく、本番勝負。今回、同行のなまこ氏が撮影を担当してくれた。自分のカメラを抱えて、客席から一歩だけ距離をおいた場所を陣取った。トークを聞いている間も、真剣な眼差しで、どう撮ろうかと構図を考えている様子がとても可愛く、その成長を感じた。トークが終了、打ち上げは店のお隣にある「il compleanno」へ岩手の友人達も交えて。最初に出てきた“ホヤとパッションフルーツ”の一皿が鮮烈な美味しさだった。これならば、いくらでも食べられそうという味。なまこ氏は、前菜の盛り合わせに出てきた、好物のサザエが気に入って、皆の分も山のように食べた。そのまま、数歩歩けばホテルに帰れる、幸せよ。原稿をやろうと思っていたのに、パタリと寝てしまった。

翌朝は中津川を横目に、美雨ちゃんとなまこ氏と3人で歩き「mina perhonen Morioka」へ向かう。その道中、親子は真剣な話合いをしていた。僕は、なまこ氏をよしよし、もう片方の手で母の背中をさする。川の流れのようにきっと何事も上手くいく、中津川に見守られた幸せな朝。

その後は切り絵作家として活動する友人に、お昼に「くふや」というお店に連れて行ってもらった。美しい器と、上等な家庭料理の店。中津川沿いにある、佇まいの良い隠れた名店であった。駅で、新鮮な帆立貝や南部煎餅、チョビのお土産にクロワッサンを購入。新幹線の車窓から雫石川を眺めながら、また直ぐの再訪を誓った。

今月の質問: 東京都 kさん より
Q:好きなお花はなんですか?
A:どんなお花も好きですが、自宅用に花屋さんで決まって買うのは薔薇の花、季節によって芍薬です。
著者紹介 麻生要一郎(あそう よういちろう) 料理家、文筆家。家庭的な味わいのお弁当やケータリングが、他にはないおいしさと評判になり、日々の食事を記録したインスタグラムでも多くのフォロワーを獲得。料理家として活躍しながら自らの経験を綴った、エッセイとレシピの「僕の献立 本日もお疲れ様でした」、「僕のいたわり飯」(光文社)の2冊の著書を刊行。現在は雑誌やウェブサイトで連載も多数。2024年は3冊目の書籍「僕のたべもの日記 365」(光文社)を刊行。また、最新刊は当サイトの連載をまとめ、吉本ばななさんとの対談を掲載した「僕が食べてきた思い出、忘れられない味 私的名店案内22」(オレンジページ)。 最新刊は当サイトの連載に自伝部分をたっぷり書き下ろした『酸いも、甘いも。あの人がいた食卓1977-2025』。
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「つれづれなるまにまに 記事一覧」
つれづれなるまにまに 其の一「なまこちゃんと作ったラーメン」
つれづれなるまにまに其の二「チェンマイのフライドポテト」
つれづれなるまにまに其の三「49歳の誕生日」
つれづれなるまにまに其の四「最近たべたもの、おいしかったもの」
つれづれなるまにまに其の五「『トークイベント』という名の京都小旅行
つれづれなるまにまに其の六「浅草観音裏から言葉と音を、そして、おいしいおでん。」














