ウェルビーイング度の高い人のうち、89%が「料理好き」だった
ウェルビーイング度が高い人のうち「5人に4人」が料理好きだった。
なぜ「料理好き」は生活に満足している人が多いのか?(2023年オレンジページ調べ 回答数1078)
まず前提から:この調査対象はオレンジページ読者コミュニティ「オレンジページメンバーズ」
今回の調査は、オレンジページの読者コミュニティである オレンジページメンバーズ(6.5万人) を対象に行われています。これは「食とウェルビーイング」の調査で、ウェルビーイング度と食の意識の関連を調べたものです。
料理レシピや生活情報で信頼と実績を持つ『オレンジページ』の読者オレンジページメンバーズは「生活感度が高い」「試す・作る・発信することに積極的」 という特徴を持ち、料理や食への関心が高いのが特徴です。
つまり、一般の調査よりも料理好きが多くなるのは当然の前提条件です。
それでもなお、 その中で料理への態度によってウェルビーイング度の高低が分かれた、 という事実が浮かび上がりました。
数字:5人に4人(=89%)
オレンジページメンバーズでウェルビーイングが高い人たちのうち 89% が「料理が好き」と答えています。 これは、5人に4人という直感的な数字に置き換えられます。
ちなみに、全体では「料理好き」は58%、ウェルビーイング度が低い人の中の「料理好き」は16%でした。同じ「オレンジページのファン」というコミュニティに集まっていても、差は出るのだということを改めて思います。
このあたりの考察はまた別の機会に。
国内外の研究が示す「料理とウェルビーイングの関係」
① 調理の“楽しさ”はウェルビーイングを高める(味の素 × 日本調理科学会※)
味の素の消費者調査(N=1500)では、 調理意識の中でも「調理好き・楽しさ」が主観的ウェルビーイングを最も強く押し上げる ことが示されています。
さらに興味深いのは、
調理スキルの高さはウェルビーイングに影響しない、
省力志向(できるだけ手間を省きたい)はウェルビーイングを下げる
という点。
つまり、“料理が上手いかどうか”ではなく、“料理を楽しめるかどうか”が幸福度を左右する ということです。これは今回のオレンジページ調査の 「料理は楽しみながら作るタイプだと思う」(ウェルビーイングとの相関0.7) と完全に一致します。
※ウェルビーイングを実現する調理の役割 —消費者調査による検証—
好村和歌子・川﨑寛也・三宅裕子 2024年度大会(一社)日本調理科学会 J-STAGE掲載 DOI: https://doi.org/10.11402/ajscs.35.0_27
② 家庭料理は“自己ケア・伝統・つながり”を育てる(MDPI Nutrients※)
国際研究では、家庭料理が 自己ケア・伝統・人とのつながり・関係性の質 に影響することが示されています。
特に、「手作りの食事を好む傾向」や「家で食卓を囲む習慣」は、 心理的な安定や“心地よさ(coziness)”を高めるとされています。
これは、オレンジページ調査の 「食は人とのつながりを深めると思う」 という項目が、ウェルビーイング度の高い層で96%に達していたこととも一致します。
料理は“無意識に自分を肯定できる時間”
料理は、手を動かし、匂いを感じ、目で判断し、味を確かめるという “身体性のある行為”です。
そのプロセスには、「自分で選ぶ」「自分で決める」「自分で整える」 という「自己効力感」が詰まっています。つまり、達成感や小さな成功体験を積み上げることができるのです。
献立を決めて、食材を買って、準備して、調理して、皿を出して、盛り付けて、食べる、終わったら片づける、この一連の作業を自分の判断で、だいたい予定・予想通りにできるのです。
考えても見てください。仕事では、なかなかそんな体験はできにくいものです。
※Cooking at Home and Well-Being: A Cross-Cultural Perspective
Nutrients(MDPI) ※家庭料理が「自己ケア・伝統・つながり・関係性の質」に寄与することを示した研究
料理は誰でも作れる“オリジナル作品”なんです
さらに、オレンジページ調査では、
「これが私の得意料理、というものがある」(相関0.6)
「自分で作る料理に満足している」(相関0.6)
という項目がウェルビーイングと強く結びついていました。
「得意料理」というのは「その人の作品」です。
似たようなものが他にあっても、オリジナリティを発揮した“何か”がある創作作品といってよいと思います。
そう、創作に関わる行為は、国内外の研究でもウェルビーイングを押し上げることが知られています。 料理はその中でも、自己効力感・自分らしさ・集中、没頭・つながり・楽観性という主要因子をすべて満たす“最強の創作行為”。
だから、ウェルビーイング度が高い人のうち「5人に4人」が料理好きだったという今回の結果は、生活者のリアルと研究知見が美しく重なったもの、といえるのです。

画像:istock
家庭料理に失敗はない
さて、とはいえ「料理は好きじゃないです、作りません」という方もいらっしゃるはず。
料理をしないとウェルビーイングになれない! などというつもりは毛頭ありません。
でも、生きている限り食べないといけないので、「料理」と構えるのではなく、なんでもいいから自分で作ってみたらいいかなと思うのです。
おいしいものを作ろう、“映える”料理を作ろう、なんて思わなくていいです。
「おいしくせねば」「きれいにつくらねば」
この「ねば」は私たちを苦しくさせるものの一つ。だからここでこの「ねばつき」を取りましょう(だから、料理をせねば!と思わなくてもいいです)。
私たちは「そのままでは食べられないものを食べられるようにする」ことをしないといけません。
生で食べたら死ぬ恐れもある食材はたくさんあります。
加熱したらだいたい大丈夫ですし、塩があればもう、いろいろなんとかなります。
湯の中で鮮やかな緑に変わるほうれん草、ほっておくだけでいい色に焼けた肉や魚、塩でもんだだけで食べやすくなるキャベツ……自分がした行為で何かが変化するのは楽しいことです。
そして、家庭料理の最大の魅力は「できたて」が食べられることだと、料理人の野崎洋光さん※はおっしゃっています。
まず、キャベツでもにんじんでもブロッコリーでもいいです。塩を適当に入れた湯でゆでるだけ。
塩ゆでして、ざるにあげたばかりのホカホカ湯気の立つブロッコリーをそのままつまんで一口。
「あ!」と小さく思った瞬間の胸の中、どんな感じ?
それがウェルビーイングな感じ、なんだと思うのです。
※野崎洋光
和食料理人。栄養士。1953年、福島県古殿町生まれ。「東京グランドホテル」「八芳園」などを経て、南麻布「分とく山」総料理長を務め、2023年末に勇退。従来の方法、考え方にとらわれず、時代に合わせた自分の料理哲学を、やわらかな語り口でやさしく説き明かす稀有な料理人として、テレビや雑誌などで人気。近年はyoutubeも人気。














