オレンジページが行った調査から興味深い数字を抜粋してご紹介する「beyond the number」。「美容・コスメ」に関する数字の2回目です。
人に直接会う機会が激減した「コロナ」。まだまだ終わったわけではないけれど、今思い返してみるとコロナが私たちの社会や心、体に与えた影響はとても大きかったと思います。
「メイク」に関してもそう。
コロナをきっかけにメイクをしなくなった、薄くなった、という人は多い。そして、そのままメイクは元に戻っていない人が多いーその数字が表すことは何なのでしょうか。
“元に戻らない”のは、なぜだろう
化粧は長いあいだ、女性が社会で求められる身だしなみの一部でした。
“きちんとして見えるように”“失礼のないように”。 そんな無意識の規範が、毎日のメイクの中にあることは今も変わらないし、必要とされています。
だからこそ、コロナ禍で人に会う機会が減ったとき、 メイクが薄くなるのは自然なことだったと言えるでしょう。
実際、「メイクは身だしなみのひとつ」と答えた人は65.8%。 ということは、人に会わないなら、身だしなみを整える必要もなくなるわけです。
やがて マスクが外れ、人に会う生活が戻ってきても、 63.3%が「メイクは薄いまま」と答えています。
ここから私たちは何を考えなくてはならないのでしょうか。
“素の自分でいい”という美談では説明できない
こういう結果のよくある分析では、 「素の自分でいいと気づいた」 「ありのままでいたい人が増えた」 という論調で、メイクする人たちの生活や意識の変化が語られることが多いと思います。
でも、そういうことばかりでもないと思うのです。
メイクの技術は、往々にして化粧品会社やメイクアップアーチストがその方法を商品とともに世に出し、さまざまな消費者が各自でブラッシュアップして定着していくもの。
その通りにやっていくと必然的に「きちんと」ファンデーションを塗り、アイメイクをし、リップメイクをし、頬紅を差し、と各種の化粧品を使うことになるのです。
そう、この点から考えると、今回の63.3%は、もっと別のことも示しているのでは?。
「あれは本当に必要だった?」という気づき
コロナ禍でメイクをしなくなったとき、 多くの人が気づいたのでは?
「アイメイクを完璧に仕上げる必要はあった?」
「リップを毎日塗るのは義務だった?」
「“人に会うための顔”づくりだとしても、実はいままでの6〜7割で十分だったのでは?」。
メイクを薄くした生活を経験したことで、 今までの「武装としてのメイク」から、「自分の気持ちにちょうどいいメイク加減をつくる」という感覚が生まれたのではないでしょうか。
コロナは「対人」に関するあれこれを不可逆的に変えたとすれば、このメイクに関してもそうでしょう。
数字の向こう側にあるもの
63.3%という数字は、 メイクの“薄化”が一時的な現象ではなく、 生活習慣として定着したことを示しています。コロナ禍を経て、それまで「こういうものだ」として行っていたメイクの見直しがなされたのでしょう。
フルメイクの“義務感”からの解放、必要以上に自分を作り込まないという選択、さらには「メイクは6〜7割でちょうどいい」という新しい発見、日本の「ファンデーション文化」への違和感……。
メイクは、自分の心地よさを守るための一つの手段。
ウェルビーイングとの関係は大きいと感じます。














