ウェルビーイングの鍵はおやつの時間にあった!

家事に、育児に、仕事に。毎日あわただしく暮らしていると、
目の前の課題をこなしているうちに時間はあっという間に流れていく。
日常の中で、ちょっとだけ立ち止まってひと息つける時間が持てたら、
きっと気持ちにゆとりが生まれて、笑顔で過ごせそう。
そんな豊かな時間を確保するきっかけを、
おやつのサブスク“スナックミー”が与えてくれる。

お話しをうかがった人/(株)スナックミー:代表取締役 服部慎太郎さん
聞き手/ウェルビーイング勉強家:酒井博基、ウェルビーイング100 byオレンジページ編集長:前田洋子
撮影/原幹和
文/小林みどり


月に一度届くのは「かわいい!」と声が出る詰め合わせ。ポスト投函されます。

━━━スナックミーのサービスを立ち上げた経緯についてお伺いします。

服部さん(以下、服部)「以前、コンサルティング業界で働いていたときはものすごく忙しかったので、おせんべいを食事代わりにして栄養補給するような生活をしていました。
もともと僕にとって「おやつの時間」は子供のころから大切なものだったのに、忙しさの中でいつの間にかその楽しみを失っていたのです。
ところが子どもが2歳になって親と同じものを食べたがるようになり、私が食べているようなお菓子を子供にもあげようと。

ただ、コンビニやスーパーで売られているお菓子には、子どもに気持ちよくあげられるお菓子がなかなかなくて。
子どもが口にするとなると、このお菓子は何でできているのだろうと気になるようになり、原材料など裏面をチェックするのですが、安心できるものがあまりなく……。
コンビニを2~3件回って、結局何も買わずに帰ることもありました。

一方で、週末に青山や恵比寿などでやっているマルシェに行くと、すごくおいしくてこだわりがあって、見ているだけで楽しくなるお菓子がたくさんあるので、マルシェでいろいろなお菓子を買ってくるようになりました。

マルシェでは毎回違う方が出店されていて、同じ方でも違う商品を出していらっしゃいます。これ何ですかと聞くと、けっこういろいろなストーリーがあっておもしろい。
でも、マルシェは週末しか開催されないし、場所も限られます。
そんなマルシェにあるようなお菓子がEC(インターネット通信販売)で身近に買えるようになったらいいな、と思ったのが、このサービスを思いついたきっかけです。

最初は本当にマルシェに行って、そこで出店されている方とお話しをして、これをECで売りたいんですと交渉し、そこで仕入れて。
そんなマルシェのおやつの詰め合わせボックスを作って、2016年からスタートしました。
ECでマルシェ体験をするとしたらどうなるんだろう、というところから始まっているので、サブスクリプション、いわゆる定期便ですね。そういった形でサービスを始めたわけです」

━━━ウェブサイトなどで『生産者』という言葉を使われていますが、複数のお菓子の作り手と直接そういったつながりがあって、スタートされたのですね。

服部「そうですね。地方に行くとよく道の駅を見かけると思いますが、道の駅にはその地域だけでつくられているお菓子や食品がたくさんあります。
そういった生産者さんにもご連絡して、一緒にやらせていただいているケースもあります。

スナックミーのおやつは、マルシェや道の駅にあるお菓子にけっこう近いイメージですね。
生産者さんの顏も見えますし、ダイレクトに取引していますし」

━━━なるほど。安全面など商品へのこだわりはいかがでしょう。

服部「子どもが生まれたことがきっかけで、商品を買うときに裏面を見るようになったわけですが、自分で発想するのが難しいもの、モノとして想像がつかないものがけっこうあって。
家で手作りするものは基本、全部モノが見えていて、それが料理になったりすると思うのですが、お菓子など加工食品は、何でできているのか分からないモノがたくさん入っていると。

それはなぜかと考えてみると、既存の流通、メーカー、卸しというルートがあって、コンビニやスーパーなどの小売りで売られて……となると、やっぱり3か月から半年くらいは絶対に持たせないといけない。じゃあ賞味期限を持たせるためには……など、いろいろ理由があるのだろうと思います。

でも、ECであれば、しかもサブスクリプションの形であれば、来月どのくらいの商品が必要かがすべて分かるので、必要な分だけ必要なものを作ることができて、廃棄という無駄がありません。それに、作ったものをすぐに出せるので、保存料なども入れなくてすみます。

そういったところから、原材料へのこだわりを打ち出したり、必要なものだけを使っておいしいものを作ろうという発想で、商品を開発しています」

整理整頓された部屋で顧客別に一つ一つ大事に仕分けされるおやつ。
PR担当 地曳美乃里さんが持つのはトレードマークのリスをあしらったバッグ。

━━━流通や生産者の話をうかがうと、サブスクでおやつを定期的に届けよう、という発想ではなく、お互いの信頼関係を結びましょう、というお約束が、たまたまサブスクリプションという形になったということなんですね。

服部「そうですね。サブスクという点でいくつかの要素が絡み合っているというのはあります。
ひとつは、商品として納得できるものにするために必要な、流通の仕組みという面。

ふたつめは、冒頭で申し上げたようにマルシェに行ったような体験、毎回違うものがあり驚きや発見があったり新しい方と出会えたりといった体験を、サブスクで実現しようと。

よくお客様からうかがうのは、たとえばドライフルーツが苦手だと思っていたが、スナックミーを通じて実はめちゃくちゃ好きだったことが分かりました、というようなお声が多くて。
そういう新しい自分の好みを見つける体験は、自分で選んでいるとなかなかできないですよね。
マルシェも実際にその場に足を運んで、そこで見ることで新しい発見があると思うのですが、ECのサブスクをやることで自分では選ばないものもそろえられます。

そして三つ目が、先ほどおっしゃっていただいた関係性のところにあります。
既存のお菓子メーカーは消費者とのつながりがそれほど大きくないと思うのですが、我々はメーカーとしてお客様と長い信頼関係を築くことで、お客様の声を活用した商品開発やブラッシュアップを非常に熱心にやっています。

サブスクでお届けした商品に対してお客様が評価できる仕組みがあり、その評価結果に基づいてその方に次にお届けするものが決まるんですね。
お客様からすれば、自分が評価すればするほど好みに近づき、逆の見方をすれば我々のところに正直な感想がめちゃめちゃ集まってくるわけです。
そういった正直な感想をベースに商品をどんどん開発したりブラッシュアップしたりできる。それらをひっくるめて関係性と言えるかと思っています」

━━━これぞサブスクですね。お客様からの反応はどうですか。

服部「最初は無添加や安全性を気に入って、スナックミーに興味を持っていただくケースが多いですね。
スーパーに行ってもそういったこだわりの商品を売っているスペースが狭かったりして、バラエティがあまりない。
でもスナックミーでは常時100種類くらいはあるので、こだわりを持ちつつもバラエティが豊富なのはすごく楽しいとおっしゃってくださいます。

一方で、スナックミーのサブスクを続けていただくほど、日々の楽しみが増えましたとか、おやつの時間によって生活が豊かになりましたとおっしゃってくださる方が増えていきます。

最初は商品の質で入っていただくのですが、サブスクを続けていくうちに、よりおやつ時間というものに対する価値を感じやすくなっていくようですね」

━━━コト消費からトキ消費へと言われていますが、まさにトキ消費。おやつのサブスクを通して時間を楽しんでいるのですね。

服部「そうですね。お客様にインタビューしていると、おやつを食べている時間も楽しいのだけれど、待っている時間も楽しいし、今回は何が入っているんだろうとボックスを開ける瞬間がめちゃくちゃ楽しい、という声をよく伺います。

ボックスを開ける時間が楽しいなら、ウェブサイト上でもマイページの『開封』をタッチするとパカーンと開くようなエフェクトをつけて、リアルでもウェブでも2回開封体験を楽しんでいただこうと、今いろいろ工夫しているところです」

ふたを開けるとそこにはすごろくも。

━━━それはおもしろいですね。おやつの時間があることで、日常生活はどう豊かになっていくとお考えですか。

服部「子どもの頃のおやつの時間といえば、ある種の楽しいイベントになっていたと思うんです。
でも今のおやつは、ちょっと小腹が減ってきたからパソコンを開きながら何か口に入れて、とりあえずお腹が鳴るのをおさえようというような、機能的な面がすごく強くなっていると感じています。
お腹が減って何か食べなきゃいけない、じゃあおにぎりを頬張りながら仕事しようみたいな、そんな片手間な食事と同じようにお菓子を機能として補充している感じ。
そうなると、おやつの時間というイベントが減ってしまいますね。

たまにいいお店に行って食事をするだけで、満足度も全然違うし、心の豊かさも違うと思うのです。
そういった意味で、我々の1パッケージに詰まったお菓子を1個ずつ、片手間ではなく何かしらちょっと時間をつくってお召し上がりいただきたい。それが理想です。

お客様にインタビューしても、スナックミーを始めてから日常生活におやつの時間を取り入れた、コーヒーや紅茶を飲む機会が増えた、という声が多いですね。
ちょっと気合いを入れるというか、いつもと違う感じで召し上がってらっしゃるのだろうと思います。

そういった時間が、ちょっとしたイベントになる。日常の小さな楽しみが増えていき、それによって生活が豊かになる。可能性としてあるのではないでしょうか。

おやつの時間と幸福度は相関するんじゃないかという仮説を持っていまして、今後もう少しそれを科学的に証明できたらおもしろそうだとも考えているんです。

別の方の例なのですが、地方に住んでいる方がリモートワークになり、オフィスに行く機会も減った中で、月に1回、自分へのプレゼントが届くような“スナックミー体験”をすごく喜んでくださっているんですね。

そういった生活の中にちょっとした刺激を加えられると言いますか、おやつの時間という小さなイベントの積み重ねが、心の豊かさにものすごく効いてくるのではないかと考えています。
それを証明していきたいし、それを実現していきたいです」

━━━自分で購入しているのにプレゼントをもらった気分になるというのは、おもしろい現象ですね。

服部「我々がセレクトしたお菓子を詰め合わせて送っているので、お客様からすると、ああ今回はこれを選んでくれたのね、どんなものかちょっと食べて見ましょう、という気持ちになるようです。
自分が買ってくる場合は自分が選んだお菓子を食べることになりますが、スナックミーの場合、自分で選んでいない、他人が選んだという贈り物感が大事なのかもしれません」

━━━こんな人にこそ、おやつの時間が必要なのではと思うのは、どんな方でしょう。

服部「たとえば、小さなお子様のいる方にもよくご利用いただいていて、おそらくお子さんと一緒に召し上がっているのだろうと想像していたわけです。
でも実は、子どもが寝たタイミングでこっそり自分で食べているという方が意外に多かったと(笑)

やはり子育てはすごく大変で、ずっと話していないといけないとか、何か食べているとちょうだいと取られてしまうとか。
そんな中で、子どもが寝たタイミングでほっとひと息するためにスナックミーを食べてくださっている。そういう方に利用していただいてすごくうれしいし、このような利用のされ方はめちゃくちゃいいなと思っています。

もしおやつがなかったら、ひと息つきたいときにどう時間を過ごすのか。
スマホをいじったりすると、本当に時間がただ過ぎていくだけでしょう。
そんなときに小さなきっかけと言いますか、そういえばスナックミーがあったと思い出して、ボックスを開けて、インスタントでもいいですがコーヒーや紅茶をいれて。
おやつのセットアップ、お皿の上におやつを乗せて、飲み物も一緒にあると。

そうやっておやつを食べるだけで、ふだんの忙しい生活の中でもひと息つける、ちょっと違う体験ができると思います。
そんな利用の仕方を聞くと我々もすごくうれしい。そういったご利用をどんどん広げていきたいですね。

ほかにも、オフィスの会話のきっかけに使っていただくケースも聞いています。
一般的なお菓子だと、差し上げて、ありがとう、で終わってしまいますが、スナックミーだと、ここにこだわっているらしいよ、こういったところがおもしろいよとひと言付け加えられるので、コミュニケーションに発展しやすいそうです。

また、家族間で贈り合ったり、実家に贈られている方もけっこういらっしゃいます。
以前は旅行を両親にプレゼントしていたけれど今は難しいので、日常の小さな楽しみをこまめに贈っているという声も伺いました。

1人のためのおやつという使い方もありますし、人と人とのつながりのためにご利用いただいているケースもありますね」

━━━ひとつひとつの分量にもこだわりがあるように見えます。大量に入っているのではなく、ちょうどいいサイズ感ですね。

服部「そうですね。サービス開始当初から容量などもいろいろ変えながら、今のボリューム感に落ち着きました。

理由はふたつありまして、まずひとつは流通面。
ポスト投函できるサイズでもっとたくさん入れるにはどうすればいいのか、というところから今のボックスの形になりました。

もうひとつは、豊かさにつながるおやつの時間にふさわしい量。
大量に入っていると、なんだかありがたみがない、とりあえずいっぱい食べてしまう、開けたら全部食べなくちゃ、という心理になって少し罪悪感も。

でも、スナックミーはボックスの中で小分けされたひとつひとつの箱が小さく、下手したら全部口に詰め込んでひと口で終わってしまうくらいの量です。
少ないからこそ、ちょっとずつ味わいながらていねいに食べることができます。

あられもすごくいいお米を使っているので、噛めば噛むほど甘くなるんですよ。
たくさん入っているとそんなことには気づかず食べちゃうと思うんですが、少量だから、そういう味もこだわりも感じつつ食べていただけるようですね。

また、小分けされているので、1個でやめておこうとストップがかけやすくていいというお声もよく聞きます。
そういった意味でも、罪悪感なく食べていただけるのではないかと思っています」

━━━なるほど、とても興味深いですね。今後の展開はどう考えていらっしゃいますか?

服部「基本的には、今の定期便のおやつをどんどんブラッシュアップしたいと思っています。
商品が100種類ほどありますが、毎月10から20種くらい新しいものを出したり、サービス自体にも何かコンテンツを付けたりして、どんどん行動していこうと。

おやつの時間をどれだけ創り出せるかに我々の価値があると思っていて、より多くの方に利用していただきたい。
今は無添加やこだわりが気に入ってスタートするお客様が多いですが、少しのおやつの時間で生活を豊かにできるポテンシャルを持った方はもっとたくさんいらっしゃると思うんです。
そういった意味で、サービスを広げていきたいなと。

昨年、おつまみのサブスク“オツマミー”を始めました。おやつは食べないけれど、夜の晩酌の時間がすごく大事で、そこで1日の疲れが吹き飛びます、という方もいらっしゃるだろうとスタートした新企画です。

人によってきっかけは異なると思うので、いくつかのブランドを出しつつ、より多くの人たちの時間の価値を上げるお手伝いをしたい。

だいたい1回30分くらいがおやつの時間だろうと思っていますが、そんな小さなこま切れの時間の価値を上げられるような取り組みを、もっと突き詰めてやっていきたいですね。
小さな習慣なんですけど、それによってふだんの生活のベースの価値、豊かさが少し底上げされるんじゃないかと感じています」

━━━おつまみ、いいですね(笑) どんなおつまみがありますか?

服部「味がついたピーナッツとか、ジャーキーとか。
ジャーキーはすごく人気があるんですよ。一般的にジャーキーといえばすごく塩辛いのが多いんですが、我々のジャーキーは噛めば噛むほど肉の味が出てくるんです。

けっこう自然素材に近いおつまみが多いですね。ホタルイカとかサーモン、野菜チップスなどもありますよ」

【インフォメーション】

スナックミー
人口添加物やショートニングなど不使用の、ナチュラル素材からできたお菓子をサブスクリプションでお届け。月一回届く“おやつ定期便”はおやつ8個入りで¥1,980。おやつは常時約100種類あり、まずウェブサイトで自分のおやつタイプを診断してから購入。好みに近いラインナップのおやつがポストに届く。
公式ホームページ https://snaq.me/