リュウジさん

食生活はこころとからだを満たして、気分よく歳を重ねるための重要なカギ。
「料理をつくること」は、日々の暮らしの豊かさと深くつながっています。
今回、ご登場いただいたのは、人気YouTuberの料理研究家リュウジさん。
SNSで発信するレシピが「バズレシピ」として話題となり、テレビ番組などにも出演。
いわゆる「ズボラ」な簡単レシピに加え、調理の基本を押さえた料理本も好評です。
自分の仕事は料理を「発信すること」と語るリュウジさんに、
料理との向き合い方について伺いました。

お話をうかがった人/リュウジさん
聞き手/ウェルビーイング勉強家:酒井博基、ウェルビーイング100 byオレンジページ編集長:前田洋子
撮影/原 幹和
文/岩原和子


引きこもりから世界一周へ

前田 リュウジさんはいつごろからお料理されていたんでしょう。お母様に習われたりとかしたんですか?

「料理をつくり始めたのは高校生くらいからですかね。本格的にやり出したのは、19歳で一人暮らしをしてからですけど。
母は料理をつくっていましたけど、とくに教わるということはなかったですね。うちの家族はわりと同じものを食べる人たちなんですよ。この日はしょうが焼き、とか、この日はしゃぶしゃぶ、とか。それがずっとループする家で、新しいものはほとんど出ない。家庭の食としてはそんなにバリエーションはなかったですね。外食とかはよく行ってましたけど」

前田 小さいときはどういうお子さんだったんですか?

「ゲームばっかりやってましたね(笑)。外に出ないし、運動もしない。もともと引きこもりなんです、僕。中学生のときとか、ほぼほぼ不登校でしたし、高校は1ヶ月でやめました。そこから2年くらい引きこもってて。で、世界一周して、若干人づきあいができるようになって、アルバイトして、ホテルの社員になって、そこで礼儀とか叩き込まれました」

前田 引きこもりから世界一周! この振れ幅がすごいです。

「そうですね。ずっと引きこもっていたんですが、両親に世界一周の旅に出たい、と言ったら、それはいい、必ずいい機会になるから行ってきなさい、と言ってくれて」

前田 その世界一周をしたときっていうのは、すでに食に興味があったんですか?

「ありましたね。世界のメシが食いたいなと思って行って、でも行ったら日本が一番うめえなってなりましたね。僕、イタリアンが好きだったんですけど、イタリアで食べたら日本のほうがうまかった。まぁ、場所によるんでしょうけど。それは日本も同じですよね。
うまいかうまくないかで言ったら、日本人の口に合わせているんで、日本のほうがうまいんですけど、外国のはそれはそれで楽しむっていうのはありますね。
僕は牛肉はステーキが一番うまいと思ってますけど、すき焼きだって食べるし、しゃぶしゃぶだって牛丼だって食べる。ステーキばっかり食ってたら飽きるから、ほかのものも食べるじゃないですか。なので、否定するわけじゃなく、それはそれって考え方ですね」

前田 で、帰ってきてホテルで働いて。ホテルは厨房ではなかったんですか。

「サービスマンです。ホテルには4年いたんですが、ずっとサービスをやってました。まぁ厨房とも仲よかったですけどね。僕が料理に興味があるから何でも聞いちゃうんですよ。そしたら、これはこうやってつくるんだよって、よく教えてくれたりしました。
でも、そのホテルが震災の影響でつぶれちゃって、その後、料理が好きだから1回コックをやってみようと思ってイタリアンの名店に入って。で、やり始めて3か月で逃げました(笑)」

前田 私、リュウジさんがそのときの話をしていらっしゃるのを何かで読んで、すごく印象に残っていることがあって。「料理を嫌いにならないようにやめた」っていうことでしたけど、そのあたりちょっと教えていただけますか。

「毎日同じものをつくっていたら飽きるでしょう? その店はパスタとドレッシングが有名だったんですけど、朝から晩までずっとやってて、もう無理だなっていうふうになりますよね。仕事はそれまでで一番評価されて、10年に一度の逸材だって言われましたけど」

料理は“自分を着飾らせるためのツール”じゃない

前田 でも、そこでプロのやり方みたいなものを習っちゃったって感じですか?

「そこに入ったときには、何てひどい店だと思いましたけどね。化学調味料とか使いまくってて、料理人として恥ずかしくねえのかって思いました。僕はもともとはそういう簡易的な調味料を使うことが嫌いだったんです。そのころは、“こんなもん使うのは料理人じゃねえ”って思っていたんで。なんかもう、どうしようもないところに来ちゃったなって感じがしたんだけど、僕がそれまでに見てきた店の中で一番繁盛してたんですよね。ランチも夜も予約がパンパンで。で、もし自分が店をやったときにこれだけ人を呼べるのかな、本格的な仕込みも全部手作りでやって、そのうえでこんなにきちっと人をさばけるのかなと思って。そこで考えがガラッと変わったんです。

何のために料理をつくるのかなって考えたときに、べつにうまければよくね? ってところにまでいきましたね。結局、化学調味料とかを使わないっていうのはどういうことかというと自己満でしかない。使わないでこういう味を出せるんだぞっていう自己満足なんですよ。で、その自己満を食わせるんです。でも料理人ってそうなんですけどね。

僕が思う料理研究家っていうのはそれとはちょっと違って、自己満足っていうよりは、つくる人の満足を考える。じゃあ、つくる側の人たちが一体何を求めているのかって言ったら、やっぱりうまいものしか求めてないんですよ、ほとんどね。わざわざ手間をかけてつくりたいっていう人は、まぁ少数派なんで。だったら、おいしさへの最短距離を貫いたほうがいいのかなってところは、そこのレストランで働いて思いましたね」

前田 今の話って、料理にハードルの高さを感じている人にとってすごく楽になる話だと思うんですね。料理嫌いの人に聞くと、みんなすごく完璧なイメージを持ってるんですよ。SNSとかですごい料理を見て、私、そんなのつくれないから、料理ができないって思っちゃう。 

「そうですね。呪縛はいつも感じてますけどね。ただ、何のために料理つくるのかって言ったら、おいしいものを食べたいからじゃないですかって。料理は自分をよく見せるためのツールじゃないんで。だから、たぶん呪縛に思ってるのってそういうところじゃないですか。人からどう見られるかとか。で、誰のためにつくるのかって言ったら、僕は自分のためにつくるんですけど、自分のためだったら、べつに何でもよくないですかっていう話で。

でも料理っていうのを、ちゃんとやらなくちゃいけないものとか、自分を着飾らせるツールとして考えているから、そういうふうになっちゃうんですよね。料理できる自分がすごいとか、できないとダメみたいな。料理っていうのはそういう社会的なスキルの一つとしてあるから、みんな、じゃ、これくらいできるようにならなきゃいけないってなるんじゃないですか」

前田 ああ、なるほど。たしかに今の言葉は本当にあたっていますね。みんな、どこか間違えたところに行きがちなんですね、そこは。

「まぁ、べつにそれが間違いとは言わないですけどね。要は趣味の料理と生活における料理っていうのは全く別物なんですよ。趣味の料理っていうのはいくら時間をかけてもいいけど、生活の料理っていうのは、時間をかけることがデメリットでしかないですよね。生きるために料理に割く時間なんて、少なければ少ないほどいいじゃないですか。だって、ほかのことができるから。でも、趣味の料理っていうのは、もともと料理が好きで、趣味でやるんだから、いっぱい時間をかけたところでべつにいいわけですよ」

僕は“料理なんてどうでもいい”と思っている90%の人に向けて発信しているんです

前田 昔はよく「男の料理」なんて言って、いきなりカルダモン砕くところから始めて……。

「それはカルダモンを砕くのが楽しんでしょ、っていう。でも世の中にはそんなのを楽しいと思う人なんていないんですよ。で、料理かいわいの人っていうのは、料理が好きな人たちだけで構成されているんですよ、じつはね。だって料理研究家なんて料理好きな人じゃないとならないですよね。でも世の中には、料理好きな人、料理をやりたい人なんて全然いなくて、10人に1人いればいいほうですよ。“珍しいね、料理好きなんだ”っていうタイプですよ。

で、今までの料理っていうのは、極論すればその10人のうちの1人に向けてたと思うんです。ちょっと誤解を怖れずに言うと、料理好きでしょ? じゃ、こういうのつくってみたら? っていうようなアプローチの仕方がほとんどだったと思うんです。情報を送り出すほうも、そんなつもりじゃなくても知らず知らずのうちに。でも、それは10人に1人にしか刺さらない。で、僕は残りの9人に向けてやってるんです。だから人気になる。あたりまえの話なんですよ。レシピも含めて、ほかの料理情報って、無意識に、たぶん料理好きな1人にしか向けてなくて、僕は9人、90%に向けているから。
料理が好きだとどうしても料理が好きな人に向けて発信しちゃう。でも、料理があんまり好きじゃない人、好きじゃないっていうか料理がどうでもいい人に、僕は発信しているんですよ。そういう発信の仕方をする料理家さんがあまりいなかったんです」

前田 まあ、私は9人に向けて届けようと思っているかたも多いと思うんですけど、でも、そう思ってやってはいるのになんだか届かないなあ、と思う方もいらっしゃるかなと、、。

「それは料理が好きだからじゃないですか。悪いことじゃないです、全然! でも好きだからこそ自然に曲げらんないですよね。ここはこういう味つけをしましょうっていうような。自分の“好き”を伝えたいから、これだけはやってくださいとか、多少手間でもそこは抜けないんですよね、やっぱり。僕はもうそこ、ぜんっぜん!抜けるんですよ。それはそれ、と思ってるんで。

僕はだから、めちゃくちゃ手抜き料理もするし、めちゃくちゃ手間をかけた料理もするし、両方やるんですよ。最近はYouTubeで手間をかけたのをいっぱいやってるんです。Twitterとかで文章に起こす料理っていうのはほとんど簡単なものなんですけどね。僕はこだわりがなくなっちゃったんで。それはそれ、これはこれ、なんですよ。

手抜きとちゃんとつくる料理の両方やる人は意外にいないんですよ。たぶん僕しかいない。じつは僕、和洋中、いろいろな料理の基本はシビアに習って、しんどくなるくらい学んだんです。僕は最初はめちゃくちゃ手抜き料理でレシピ本大賞をとったんですけど、これはもう、めんつゆとかガンガン使って、焼くだけとか、混ぜるだけとか、全部ぶち込んでチンするだけっていう料理本だったんです。だから僕は手抜き料理研究家だったんですけど、でも今出ている『至高のレシピ』っていうのはちゃんとつくるレシピ本なんだけど、今までで一番売れているんです」

前田 帯に「邪道にして最高傑作!」って書いてある。

セルフマネジメントが重要。知らない人の本なんかだれも買わない

前田 この本、全部のレシピをよく見ると、簡単ではあるんだけど、おいしくなるコツが自然にわかるようになってますね。そこがすごい。

「じつはね、わりと料理の基本が入ってるんですよ。今までは全部無視していた基本がね。でも、僕が最初にこの本を出してたら誰も見向きもしなかった。僕がある程度フォロワーがいて、テレビにも出て、評価されているから、そういう料理家だから、この本が出せたんです。まぁ、知名度ですね。知名度のある人間の言うことはみんな聞くんですよ。ただ、僕はもともとこれを出したかったんです。ずっとこれを出すためにほかの本をつくってた」

前田 なんかすごいですね。マネジメントっていうか。天性のものなんでしょうけど。

「僕はどちらかというと、料理研究家っていうよりはマーケッターなんですよ。僕より料理がうまい人はいっぱいいますけど、僕よりマーケティングして自分をプロデュースができる人がいないんです。しかも料理研究家のかたって、ほとんどマネジメントがつかないですよね。だから、どうやっていけばいいかわかんない人がすごく多い」

前田 そのセルフマネジメントでいうと、たとえば5年後とか、中長期計画みたいなものを立てて、最初から計算して、途中のマイルストーンとしてこれがあったって感じですか。

「いや、計算とか、こうなろうというのはべつになかったです。僕は料理を広めようということしか考えてないんで。僕は自分自身が料理好きで、好きだから広めるっていうタイプなんですよ。好きなものを布教していきたいんですよね。レシピはさっき言ったこだわりとか捨てた部分や、ここは大事、と思ったポリシーを詰め込んだ、僕がすばらしいと思っている作品で、その作品をみんなに届けたい……なんかまぁ、おたくの思想ですよね、多少変わっているかもしれないけど、自分がいいと思っているものをみんなと分かち合いたいっていう(笑)。

で、広めるためにはどうすればいいのかなっていうので、『バスレシピ』っていうワードで売ってったんです。そもそも手に取ってもらわないとモノってわからないし、僕のレシピのよさも一回つくってみないと絶対にわかんないですよ。
だから僕はどんどんどんどん広めていく方向に力を入れたんです。で、まずは手に取ってもらわないと。最初からこだわりの強いものなんか出したって、、誰も僕の料理なんかつくらないですよ。まずはやさしいところから入っていって、今は少しむずかしいものもやると。まぁ今までの料理家さんのレシピと比べると簡単なものが多いですけど」

前田 簡単なんだけど、絶対はずしちゃいけないちょっとしたワザっていうのは、すごく入れどころがうまいですね。

「それはYouTubeに転向したからですね。Twitterの短い文章だとコツがいらないもののほうがバエるんですけど、YouTubeは一つのポイントを細かく説明できるし、少しコツを入れ込んだほうが視聴者さんが喜ぶんで。なんで、だんだんコツを入れる料理になってますね。でもコツがいらないのも需要があるんで、それもやらなきゃなっていうのはあります。

だから両方。何て言うのか、垣根がないんですね、僕の場合は。こういうのはダメっていう意識は全くないんで。ズボラでも、ちゃんと出汁をとってもどっちでも両方いい。そういう料理家さんがいなかったから。スナック菓子で調理するとか、僕は全然やるんですけど、それと基本の料理を両立させている人って、世の中に僕しかいないんですよ。
だからもう、何だろうな。広めることに関しては誰にも負ける気がしない。だって簡単なズボラめしの本が売れて、ちゃんとした基本のレシピも売れちゃったから(笑)」

評価されなきゃ意味がないからプライドは捨てた

前田 前にYouTubeで年越しそばをつくっていらしたのを見たときに、ズボラっていうのと本格風っていうのがうまく調和されてて。出汁はかつお節を粉にして入れて、昆布は高いから買わないでうまみ調味料でやりましょう、同じグルタミン酸入っているからって。それが理論的だなぁと。

「とにかく今多用しているのがこれ。特に、鰹節はすごいヘビーに使う」

「かなり理論的につくりますよ、僕はね。見た感じ感覚派っぽいじゃないですか(笑)。でもじつは理論派で、グルタミン酸がこうやって作用するから入れますとかっていうのを、わりと言うんですね。僕のはどのレシピにも結構理屈が入ってて、わかりやすいって言う人もいれば、うーん、まぁ、ちょっと小難しいって思う方もいらっしゃるかもしれないですね。でもYouTubeだと酒を飲みながらてろてろやってるんで、もしかしたら入りやすいかもしれないです。最初から固いと誰も見ないけど、くだけた雰囲気で要所要所にテクニックを混ぜ込んでいくと、わかってくれる人はわかってくれます」

前田 見ていて、思わず“あーそうか!”って言っちゃうんですよ。自分がとらわれていたこと、ちゃんと出汁をとるとか、そういうのをスコーンと気持ちよく超えさせてくれるところがあって。

「ただ、難しいですけどね。だって今までの自分の料理を否定することになっちゃうから。今まで出汁をとっていた方に僕が、いやいや出汁をとらなくてもこれで十分本格出汁に近づきますよって言っても、じゃあ、今まで私がやってきたのは何だったのってなる。やってみようと思える方は変化できるんですけど、受け入れられないと、昔からのやり方がおいしいってなる。理屈は同じなんですよ、成分とかね。ただ何が違うかっていうような話になると、うーん、昆布の香りがしないとか。まぁ原理主義の人たちもいらっしゃるんでしょうし、その人たちの気持ちはものすごくよくわかります。僕がそうだったから。
僕が簡単レシピにいくときに、もうめちゃくちゃものすごい葛藤があって。こんなもん料理って言えるのかなっていう。でも、そこらへんのプライドっていうのは僕は捨てたんで」

前田 最初、レストランで化学調味料を使っているのを見て、恥ずかしくないのかってお思いになった。そこからそれもよし、となるまでに、どうやって自分を飛び越えたんですか。

「要は、評価されないと意味がないから。自分がどうこだわったところで、リュウジの料理はうまいって評価してもらわないと何にもならないじゃないですか。自己満足はやめて、評価されるものをつくることにしたんです。評価されるものっていうのは、その人たちが求めていたものだから評価されるわけで、だから僕は自己満足ではなくて、人が満足するものに徹しようと思ったんです」

料理が好きだからコックを辞めた。僕の仕事は「発信する」こと

前田 なるほど。ところで、今、自分もリュウジさんみたいに好きなことを仕事にしたいっていう人が多いだろうなって思うんですけど、好きなことを仕事にしたと思われている立場からすると、そういうのってどうお考えになりますか。

「いや、好きなことは仕事にしないほうがいいですよ。僕がコックをやめたのは、やっぱり好きなものは好きでいたいからで、それには好きでいられる環境が重要なわけですよね。好きなことでも強制されたら嫌いになるから。
で、僕は料理を仕事にしていると思われていて、自分でも料理研究家って言ってますけど、じつは料理が仕事じゃないんです。僕の仕事は発信することなんですよ。料理は僕が個人的に趣味としてやっているもので、それをYouTubeとかTwitterとかで発信すること、わかりやすくみんなに伝えることが僕の仕事なんです。

料理を仕事にしている人っていうのは料理人の方とかです。料理をつくって食べてもらってお金を稼ぐ。あれが料理を仕事にするってことなんです。僕は料理をしているけど、家で料理やレシピをいくらつくってもお金になんないですもん。発信しないとお金にならない。だから全然違うんですよ、仕事がね。僕は発信が仕事だと思っているから、好きなことを仕事にっていうのとはちょっと違うかもしれない。

それと僕は、好きなことを仕事にっていう今の風潮、嫌いなんですよ。仕事して帰ってきて、プライベートな時間で好きなことすればいいじゃんって思ってるから。なんでお金を稼ぐ“仕事”に“好きなこと”を持ってくるのにこだわるんだろうなって、いつも思ってますけどね。自分がしたいことじゃなくても、社会に必要とされているからとか、これができるからやろうっていう人たちはすばらしいと思うんです。そういう人たちがいないと世の中が成り立っていかないし、僕はそういう人たちがもっと評価される世の中であってほしいなって思っています。

僕はよく、料理研究家になる夢をかなえた、みたいにも言われるけど、僕が料理研究家になったのはなりゆきです。SNSに投稿してたらそれっぽくなったから、そうしたっていうだけの話で。料理研究家になろうと思ってやってたわけじゃないんです。なりゆきでやってるから、ドリームをつかまえたとか、そんな高尚なもんじゃないよってところですね」

前田 最後に、皆さんにおうかがいしている「あなたにとって料理とは何ですか?」っていう質問なんですけど、今までのお話からするとリュウジさんにとって料理は趣味?

「うーん、趣味でもあり……何だろうな。そう言われたら難しいですね。まぁ、生活じゃないかな。僕は生きていく上で食べているものが、そのままレシピになっているから。生活と趣味が同居しているような感じですけど、でも一番重要なのは生活だと思っています。僕の根本には、趣味よりは、生活のためのレシピっていうのがあるんで。スーパーに行って、最近ちょっと肌荒れしているから野菜を食べようとかね(笑)、そういうのもありますし」

前田 料理って、自分の健康管理ができるのもいいところですよね。

「栄養素の選択ができるのはいいですね。外食だと油がどれだけ使われているとか、全部計算できないから。自分がつくったものを食べていれば、栄養の計算はたやすいんですよ。ほら、僕、太ってないでしょ?(笑) だから、そういうことも含めて、料理は僕にとって“生活”なのかなって思うんです」

手にしているのは「リュウジ式至高のレシピ 人生でいちばん美味しい! 基本の料理100」(ライツ社)

リュウジ
料理研究家。TV・漫画のレシピ監修や、食品メーカー、大手スーパーマーケット等とのタイアップによるレシピ開発、自治体での講演も多数手がける。著書は累計110万部。「今日食べたいものを今日作る!」をコンセプトに、Twitterで日夜更新する「簡単・爆速レシピ」が話題を集め、SNS総フォロワー数は約660万人。料理動画を公開しているYouTubeはチャンネル登録者数280万人を超える(2022年4月現在)。