ウェルビーイングの鍵は食生活改善にあった!

ウェルビーイングな人生を過ごすために、“心身ともに良い状態でいること”は、とても大切な要素。
そのために何か新しい習慣を始めてみようと思ったとき、
頼りたくなるのが食事管理アプリ『あすけん』。
その日食べたものを記録すると、AI管理栄養士の未来(みき)さんが、
食生活について具体的なアドバイスをしてくれる。
ただの記録とカロリー計算に終わらない『あすけん』が目指すものとは?

お話しをうかがった人/(株)asken:取締役 道江美貴子(管理栄養士)
聞き手/ウェルビーイング勉強家:酒井博基、ウェルビーイング100 byオレンジページ編集長:前田洋子
撮影/原幹和
文/小林みどり


アプリを使って自分が食べたものの写真を送ると、AI栄養士 未来さんがアドバイスをくれる。

━━━食事を管理するアプリはいろいろありますが、『あすけん』ならではの特徴やコンセプトを教えてください。

道江さん(以下、道江)「『あすけん』は、“明日の健康”から名付けたサービスです。『あすけん』の機能をシンプルに表現すると、食事を記録し、自動計算によって栄養状態がひと目で分かり、管理栄養士のAIキャラクター未来さんが食生活の改善ポイントをフィードバックしてくれます。
減量したいだとか筋肉をつけたい、健康を維持したいなど目的はいろいろあると思いますが、未来さんのアドバイスに沿って生活を改善していくと、目的に近づくことができる。そんな食生活改善アプリになっています。

弊社の一番の特徴は、やはりアドバイス、フィードバックがあるという点です。
サービスを始めてそろそろ15年になりますが、当時はフィードバックが返ってくるアプリはあまりありませんでした。食事を記録してカロリーが分かる、カロリー計算機のようなサービスはありましたが、たとえば栄養素の詳細をグラフにしたり、カロリーだけでなく栄養の過不足も見て食生活を正しく選択するようアドバイスする、というサービスはなかったんですね。

当時は健診を受けて、何か食生活に改善が必要な場合は管理栄養士さんや保健師さんに指導されて、というスタイルが一般的でした。それをITを使って、当時はPCサイトでしたが、すぐ分かる、簡単に自分のための栄養士さんが手に入る。そんなコンセプトでサービスを展開していました」

━━━機械的ではなく、キャラクターを立てて人が寄り添ってくれるというところが新鮮ですね。

道江「おっしゃる通りですね。“あなたのための栄養士”というサブコンセプトがあり、ただのカロリー計算機ではなく、その方に寄り添う存在であるというところを大切にしています」

━━━『あすけん』の理念とは何でしょう。

道江「弊社のサービスのミッションは、“人々の明日を今日より健康にする”です。これは弊社の成り立ちに関係しています。

親会社はグリーンハウスという、社員食堂などを運営するフードサービスの会社です。管理栄養士・栄養士が約2000人ほど在籍していて、社員食堂を利用する従業員の方々に向けて、対面での栄養相談や食に関するセミナーなど食生活改善の健康サービスを何十年も行ってきました。
そういう管理栄養士たちのノウハウが蓄積されていて、でも対面でのサービスだと数に限りがある。じゃあそれをIT化したら、より身近にそれらのサービスを提供できるのではないかと。
そこで、管理栄養士が顧客の食事のどこに着目してどういうふうにアドバイスするのかなどをインタビューしてシステム化し、AI栄養士のキャラクターが誕生しました。これが『あすけん』の始まりです」

━━━めいっぱい、食を楽しみたいけれど、食を楽しむには健康も大事で。とはいえ、ストイックになり過ぎるのもよくないのではないか。多くの人がそんなジレンマを抱えていると思いますが、『あすけん』としては食生活をどのようにとらえているのでしょう。

道江「これは私の持論も入ってしまうかもしれませんが、食生活はやはり楽しいものだと思いますし、一緒に食べている相手やその時間も含めて、人生を豊かにしてくれるものだと思います。弊社のメンバーもみんなそう思っています。
けれど、健康を害して自由に食べられなくなると、そんな大切な時間も失われるということなんですよね。

そんな幸せな時間がなくならないために、一歩手前で、自分が病気にならないための食事、どういうふうに食事を選んだら病気にならないのかを知っておくことが、すごく大切なのではないかと思っています。

食事を楽しむにしても、どれが食べ過ぎでどれが少な過ぎで何が必要なのか、というモノサシがない状態でいることは危険です。
モノサシを持っていれば調整することができるんですね。楽しむ日を作るために調整する日を設けようと、食生活を自分のいいように調整できるわけです。

そんな自分のモノサシを持つために、『あすけん』のようなサービスを使って、自分にとって何が正しいバランスなのかということをまず知っておく、知識として知っておくことが大切なのではないでしょうか。

つまり、メリハリですね。そういう意味で言うと、食生活はいいときも悪いときもあるもの、なんだと思います。

弊社のサービスのポリシーとしては、好きなものを食べるために、好きなものを楽しむために、ときには我慢する日もある。そんな調整をお手伝いするためのサービスだと思っています」

━━━食の誘惑に負けたときは皆さん自覚があると思うのですが、そんな状態から食生活の改善に向かうとき、行動変容の障壁になるものや、習慣化するまでの大事なポイントとはいったい何でしょう。

道江「運動でも食事でもヘルスケア全般、やはり習慣化するまでには苦労があるものだろうと思います。
弊社のユーザーでやせるなどの目標を達成している方にお話しを伺うと、皆さんずっとストイックに続けるのはやはり難しいので、たとえば土日は好きな食事をしっかり楽しんで平日はカロリーを適正にするように気をつけるなど、メリハリをつけている方は多くいらっしゃる印象ですね。

すべて完璧にしようとすると、最初の頃はやはりくじけがちです。一回何か食べ過ぎてしまっても、たとえば三日以内に調整すればいいか、など。そういうふうに長期の目線で食生活のバランスを見ていくと、挫折しにくいのではないでしょうか。

毎日完璧な食事を守るのはストレスがたまりますし、おつき合いや食べたいものもあるので難しいと思います。一週間、一ヵ月、そういう長期間の範囲で、控える日や食べ過ぎる日もあって調整していく。それで十分に健康は維持できます」

━━━『あすけん』を利用される方は、やせたいという動機が多いのでしょうか。

道江「ダイエット、減量したい方がやはり多いですね。ただ、理由は人それぞれだと思います。スタイルをよくしたいという意味のダイエットなのか、健康診断で数値が出てやせなさいと言われて利用される方もいらっしゃいますし、さまざまだと思います。

食事を記録するということは、いわゆる“見える化”なんですね。食べたものは覚えてはいるでしょうが、自分が食べたものを見える化する作業はあまりしないのではないでしょうか。
それを記録して、このくらいのカロリーになったんだ、栄養はこれくらい摂れたんだ、野菜はこんなに食べていたんだ、というのがアドバイスで見える化されて、それによって何か気づきがあると思うのです。
一度そうやって見える化してみると、すごく健康的な食事をしているつもりでも意外とたんぱく質が足りなかったなど、ヘルシー過ぎて何か足りないものがあると気づく場合もあるんですよ。
そういう、見える化によって気づきがあることが、すごく大切だと思います」

━━━食事を写真に撮る意味は何でしょう。大皿料理が多い家庭では、写真を撮ることで1人分を意識することにもなりそうですね。

道江「そうですね。ダイエットが目的の場合、大皿だと自分がどのくらい食べているのか分からないので、食べる分だけよそってというのは基本的なことですね。

写真に撮る意味は、あとで見返せるのが大きいかなと思っています。食べたものはけっこう忘れがちですし、写真に撮ると写っているものを正確に記録できるメリットもあります」

━━━ホームページにある“主観的健康度”という言葉が目を引きます。これについて詳しく説明していただけますか。

道江「『あすけん』を使って見えてくる数値は、栄養のバランスがよくなった、カロリーが適正になった、ということなのですが、自分が健康になったかどうかという感じ方が、『あすけん』を使う前と後でどう変わったかアンケートに答えていただいています。

健康行動をすること、食生活を変えることによって、たとえば目覚めがよくなった、気持ちが落ち着く、ストレスが減った、お通じがよくなったなど、ちょっと気分がいいな、快調だなと感じることはよくあります。
それを“主観的健康度”と呼んでいるのですが、なかなかアプリの中だけでは数値化できないので、前後のアンケートでフォローしているわけですね」

━━━なるほど。体の健康だけではなく心の健康も踏まえての“主観的健康度”という言葉に、ウェルビーイングの可能性が感じられます。

道江「よく、バランスのいい食生活をと、わりとふんわりした形で言われますね。バランスのいい食生活とは、いわゆるご飯に肉や魚、野菜がある定食スタイルをイメージされると思います。
なぜそれが推奨されるかというと、たとえば精神的なストレスのコントロールや腸内環境など、体自体をよく保つための栄養素というのが、バランスのいい食生活をすることで摂れるからなんですね。いろいろな食材を食べることで、それらから摂れるさまざまな栄養素が相互に関係を持ちながら体の中でいい働きをしてくれるわけです。

ストレスや睡眠と食事に深い関係があることは、いくつも研究結果が発表されています。
たとえば、セロトニンという脳で分泌される幸せホルモンがありますが、食べ物から摂ったたんぱく質からできるトリプトファンというアミノ酸が原料となります。
朝、しっかりたんぱく質を食べて太陽の陽を浴びるとセロトニンが作られ、それが夜になるとメラトニンに変化してよく眠れるようになるので、朝食が夜の睡眠に影響しているとも言えます。

また、腸内環境が注目されていますが、腸は健康と密接に関係していて、良い腸内環境は体調のよさの源みたいなところがあります。生活習慣病など病気の予防、肌をきれいにしたり便秘の予防にもなるなど、そういうことすべてに関係しているのではと期待されているのが腸内環境です。
腸内環境をよくするとなると食物繊維が必要です。食物繊維といえば野菜からほぼ摂れるものなので、野菜をしっかり食べるように言われるのは、食物繊維をしっかり摂るためであったりするわけです。

そんな食物繊維をはじめビタミンやミネラルを何グラム摂りましょうと言っても、なかなか食事では分かりません。だから“バランスのいい食事”という食生活に落とし込んで、それらを摂ってもらいましょうという活動なんですね。

バランスのいい食事をしていれば、ストレスや肌荒れや不定愁訴、なんとなく調子が悪いとか疲れやすいといった症状を予防することにつながります。そういうところが、食生活の改善とウェルビーイングがつながるポイントなのではないでしょうか」

━━━専門知識がなくてもバランスのいい食事を習慣化していくためのツール、それが『あすけん』なんですね。

道江「お客様から体調がよくなったというお話しを聞くことは確かに多いですね。食生活を整えることによって、主観的健康度とも言えますが、体が軽くなって体調がよくなったと感じている方の声はよく聞きますので、食生活で体調が変わるというのは本当にあることだと思います。

そういった体感が得られれば習慣化は進むと思います。減量する際に体重を毎日測ると少しずつ変化していくのが見え、習慣化に一番効果があると言われています。それと同じように、なんとなく目覚めがいいとか、疲れにくくなったという体感があると、習慣化できるのでしょう」

━━━ユーザーの反応として印象深いものは何ですか。

道江「それまであまり食事に気を遣ってこなかったユーザーさんが、ご自身の減量のために『あすけん』を利用し始め、栄養を摂らなければということで自分で料理を始め、それがきっかけでお子さんにも手作りの料理やお菓子を作ってあげるようになり、家族の食事が変わって夫もやせた、みんな一緒によくなりました、というお話しはよく聞きますね。

また、何かしらの生活習慣病でやせる必要がある方が『あすけん』を使い始め、体重が落ちると血液検査の数値もよくなり、お医者さんからも褒められ、薬を飲まなくてすむようになりました、というお話しも多いです。

そんな体験談を伺うと“ウェルビーイング”に役立っているんじゃないかな、と実感できますね」

━━━やせる目的はさまざまだと思いますが、年代によって傾向の違いはあるのでしょうか。

道江「『あすけん』も多少は年代別に機能を分けている部分がありますが、食生活を見える化するという点では皆さん一緒なんですね。そこからどんなメッセージを受け取るかというのが、年代によって違うのかもしれません。

たとえば、若い層は無理なやせ方をする人が多くて、やせ過ぎるくらいやせたがる傾向が強いです。
弊社としてはそれはよくないことだと考えていて、目標設定をするところでやせ過ぎになる設定ができないようになっています。BMI値で18.5未満は設定できません。なぜなら、BMI18.5未満は、BMI25以上の肥満の人と同じように、長期の視点で見ると体に不調をきたしやすいことがわかっているからです。特に、若い女性のやせ過ぎが問題にもなっていて、今は良くても将来出産をする時に子どもへの影響や、自身が高齢になった時の健康など、長い人生を考えると無理なダイエットをするのはよくない可能性があります。
私たちは、健康でいるための食生活改善をするアプリの会社なので、そういったこともお伝えしなくてはならない立場だと思っています。

年齢が上がってくると、逆にやせにくくなるという問題が出てきます。
ホルモンバランスが変わっていきますし、40代から50代となると閉経もあり体がすごく変化する時期で、なかなかやせないという悩みを伺うこともあります。
そんなケースでは、やせることも大事だけれど運動を併用することも重要になっていきます。『あすけん』の場合は運動も点数が出て、運動しないと100点満点にならないように設定しています。

やせるとひと言で言っても年代によってやせる道のりが違うこともあるので、年代ごとだったり、さらには一人ひとりに合わせた提案ができることを目指していきたいと思っています」

━━━今後の展望は。

道江「パーソナライズという意味では、まだまだ道半ばかなと感じています。年代別、性別、目的別もそうですし、あらゆる皆さんの食を変えて、こうなりたいという目標をもっと細やかにサポートしていける機能をつけたいですね。

一方で、糖尿病の食事管理をサポートするアプリの準備もしています。医療の分野へのチャレンジは弊社では初めてですが、食生活を変えることをひとつのアプローチとしてチャレンジしていきたいです」

━━━海外でも展開してらっしゃいますね。

道江「はい。アメリカとカナダで出しています。
アメリカには日本のような国民健康保険がないので、皆さん自分で自分の健康を守らなくてはいけないので、ITヘルスケアは日本よりアメリカのほうが進んでいますね。食の多様化という面でも、宗教やビーガンなど日本の比ではないくらい幅広い対応が必要です。
そのためさまざまなITヘルスケアのサービスがあり、そういった種々の情報に触れていると、パーソナライズの点ですごく勉強になります」

━━━600万人以上の方に支持を受けている理由は、どんなところにあると思いますか?

道江「使ってくださった方の口コミにすごく助けられている部分はありますね。AI栄養士の未来さんというキャラクターの存在が大きいのかもしれませんが、ユーザーの方との距離が近いと言いますか、未来さんに人間味を感じていただけて、ああ言われたこう言われたとSNSによく投稿されているようです。

また、ダイエットしてやせると、なんでやせたの?と聞かれやすい。そこで『あすけん』の名前を出してくださることで、広がりやすいのだと思います。
弊社はいわゆるITベンチャーが参入するような華々しさとは違って地道にサービスを作ってきたので、口コミにはとても助けられています。

また、さまざまなアプリがある中で、食生活に深くコミットしているアプリはあまり見かけません。ヘルス系アプリはけっこう多種多様で、運動系はもちろん、ストレスチェックがあったり保険と組み合わせたりして幅広く手掛けられるところが多いです。
弊社は成り立ちが食からきていて、食事の改善にまっすぐ取り組んできました。そんなところがユーザーの方々に伝わっていたらうれしいですね」

━━━これからどんどん、別の“見える化”に発展しそうですね。

道江「そうですね。ユーザーの方からはいろいろなご要望をいただきます。ただ、弊社は皆さんの健康を預かる立場ですので、エビデンス的なもの、根拠がしっかりしていないと。なかなか簡単にはいきませんね。

ダイエットや減量以外のところで食生活を整えることの大切さを伝えていきたい、という気持ちはあります。
健康に不具合が出ると皆さんがんばろうとモチベーションが上がりますが、今特に問題はないという状況で、それでも栄養を整えよう、食生活を変えようと呼びかけても、意識をそこに向けるのは難しい。本当は食事を改善することで疲れにくくなったり体調がよくなったりするのですが……。まだまだそこまでたどりつけていない、そこにたどりつきたいねと、よくスタッフと話しています」

イメージカラーのアボカドグリーンと黒でナチュラルシックにまとめられたオフィス

━━━何か新しい習慣を始めると、誰かと共有したくなります。そんなコミュニティがあれば、問題がない人にも訴求できるかもしれませんね。

道江「そうですね。今のサービスはダイエットが目的の方向けの設計ですが、使う方がご自身で毎日記録をしてがんばってやらなくちゃいけない部分が大きいです。そこから一歩抜け出して、たまにアプリをのぞいてチェックするくらいでも、よくなっている実感が持てるような方向に展開したいという希望は持っています。

10年前からすると、世の中のとらえ方がそちらの方向に流れているような気はします。ダイエット法も、リンゴダイエットのような極端なものがなくなってきて、食事はちゃんとしなくちゃいけない、たんぱく質を摂らなくちゃいけない、肉はダメなんていうこともなく、逆に高齢の方は肉を食べて、という話になってきています。もっとビタミンやミネラルなど栄養を摂ることに興味を持ってもらえたらうれしいです。

個人的に思うのは、精神的なストレスは一番健康によくないんじゃないかということ。ストレスがあると食が乱れるんですよね。そこに気持ちがなくなるから。鶏と卵のような話しになりますが、食生活が乱れるからストレスを感じやすくなるということもありますし、ストレスを感じるから食生活が乱れることもあります。
いかに自分で食を整えていけるか、生活を整えていけるか。乱れてももどってこられる、それがウェルビーイングにつながるのだろうと感じています。そんなサービスを作っていきたいですね」

【インフォメーション】

『あすけん』はユーザー登録数700万人に迫る、日本最大の食生活改善アプリ。2021年のダウンロード数はダイエットアプリ部門で1位を獲得。食べたメニューを選んだり写真に撮るだけでカロリー計算や14種の栄養素をグラフ化し、AIキャラクターの栄養士が毎日改善ポイントを無料アドバイス。また、体重や生理日の記録、運動の記録も可能。健康生活を丸ごとサポートしてくれる。
アプリURL:https://www.asken.jp/